サラヤ株式会社(本社:大阪/代表取締役社長:更家悠介)は、日本防菌防黴学会第44回年次大会において、演題名「ノロウイルス代替ウイルスを用いた嘔吐物処理方法の検討」でポスター賞を受賞しましたことをお知らせいたします。
本研究では、ノロウイルス対策において重要となる嘔吐物処理に着目し、近年提案されている処理方法を代替ウイルスを用いて検証し、適切な処理方法を見出しました。
■日本防菌防黴学会ポスター賞について
学会評議員の投票によって選出されており、本年度大会では発表演題204題中の受賞演題5題のうちの1題として選出。
サラヤバイオケミカル研究所では、世間での認知度が低く、名称も「ノロウイルス」と命名される前の小型球形ウイルス(SRSV)であった頃から、ノロウイルスの重要性に着目し、他社に先がけて代替ウイルスを用いた薬剤によるノロウイルス不活化研究を行ってきました。こうした研究の中、アルコールのpHを酸性あるいはアルカリ性にシフトさせることでウイルスに対する有効性が高まることを見出し、ノロウイルスの大流行があった2006年に本技術を応用したサラヤ初のウイルス対策商品を開発しました。本開発研究については、のちに日本防菌防黴学会に論文投稿し、論文賞を受賞していますa)。その後も、本技術を応用した商品を多く上市しています。
バイオケミカル研究所サテライトラボについて
2009年の発足以来、毎年学会発表や論文投稿を行ってきました。その中でもノロウイルスを中心としたウイルスに対する研究には力を入れており、ウイルスの各種薬剤に対する不活化効果に関する研究b)にとどまらず、遺伝子を用いたウイルス不活化試験方法に関する検証c)やノロウイルス対策として非常に重要となる嘔吐物処理方法に関する研究d)、器具の洗浄や清拭による不活化効果の研究e,f)等、実使用に即した様々な評価検討を行い、研究成果を発信してきています。今後も、ノロウイルスを中心としたウイルスに有効な新たな製剤の開発やウイルス対策に関する知見を発信していけるよう努めていきます。
■これまでのノロウイルス対策関連の論文
a) 隈下祐一他 (2007). ノロウイルス代替のネコカリシウイルスおよび各種微生物に有効なエタノール製剤の開発. 防菌防黴, 35(11), 725-732.
b) 松村玲子他 (2013). 殺ウイルス性アルコール系手指消毒剤の有効性評価. 防菌防黴, 41(8), 421-425.
c) 隈下祐一他 (2009). ウイルス感染価測定法およびリアルタイムPCRによる遺伝子定量法を用いたネコカリシウイルスの不活化評価. 防菌防黴, 37(12), 871-877.
d) 中村絵美他 (2013). 模擬ノロウイルス汚染カーペットに対する水蒸気加熱-酸素系漂白剤同時処理の有効性. 防菌防黴, 41(6), 301-305.
e) 中村絵美他 (2016). 環境清拭用クロスの微生物に対する性能評価. 環境感染誌, 31(2), 100-106.
f) 加藤頼子他 (2017). 微酸性次亜塩素酸水のすすぎによる除菌効果. 防菌防黴, 45(4), 185-190.
バイオケミカル研究所
サラヤバイオケミカル研究所 彩都サテライトラボ
日本防菌防黴学会
※各ニュースリリースの情報は発表当時のもので、現状と異なっているものもあります。